相談室に出向く/選択肢/その他いろいろ雑感。リスクを把握してすすむということ

彼はキャリア相談室に出向いた。
私はそこに「博士の生き方」のホームページに掲載されているような、博士のその後についての客観的なデータが揃っていることを期待したのだが、残念ながら、まだそういう段階ではないようで、心理面のサポートというか、まあ本当に、不安を打ち明ける場所と言ったところという段階だ。具体的に斡旋してくれるというのもあまり期待できない。割と一般的な説教というかそういう面の話はしてくれたようだ。


多くの点で、私が彼に対して述べたのと似たようなことを言われたということである。キャリア相談室で、いやあ彼女にも同じようなことをいわれてー、なんて話したところ、相談員は私を褒めていたらしい。まったく別の第三者からの意見も、私と共通する部分が多いということで、私の株が上がったというか、信用性がより高まったようだ。
そこの方にいわれたことは、一回目のポスドクが勝負どころなんじゃないかということだそうだ。一回目のポスドクなら31歳くらいに終わりなので、ダメだった場合も転職を割としやすいだろうという話である。私の設定した期限よりもより、厳しい水準を出してきたなあーと驚いた。その話を聞いて思ったのは、ポスドク一期目で今の状況を打破できるような成果って本当に出せるのかっていうと疑問だなあということ。そうすると結局、アカデミアをあきらめるための準備期間みたいになっちゃうし、それだったら今方向転換したほうがいいかもしれぬなあという気持ちである。
彼がアカデミアに残るという決断をするなら、私も心構えをせねばならぬ。ポスドク問題はだいぶ騒がれつつあるので、少しずつ状況は変化するかもしれないということも相談員はいっていたが、助けてくれるのをただ待っていて、助けてもらえなかったといってグジグジ文句ばかり言っても仕方ない。自分で自分の道を拓かないと


私たちの話し合いは、チャットやら電話やらで毎晩深夜まで続いており、二人ともへとへとである。キツイが、しょうがない。ここを乗り越えて二人とも納得できる道を探さないと。進む道としては以下が考えられた。
1.全く別の道(資格職)チャレンジ
2.企業研究者になる
3.アカデミアにのこる。一回目のポスドクまでが勝負(条件厳しすぎるか)
いずれにしろ、博士号は取得する。
1の場合は卒業後、社会的に無職みたいになる可能性があるので、その期間どうするかについて裏技を考えようとしている。
2の場合は次の4月入社に間に合わせるのはすでに厳しい(内定式は普通前年10月)であり、また、第二新卒としてよりは新卒の方が選択肢が広い可能性があるので、卒業時期を調整するのもいいかもしれない。
3の場合、問題点は実はもうひとつあって、具体的に今後どういう研究をしたいのか、彼もわからなくなっている状態だったりするんだよね・・・。今の論文をだした後に何をやるかという話。


彼は両親にも悩んでいることを打ち明けた。大騒ぎにならないかと心配したが、割と落ち着いて受け止めてもらえているようであり、母親は1か3かなあというところで、父親は2が現実的ではないかという雰囲気だったそうだ。1の場合も、とりあえず自宅を追い出されるということはないようだった。
まあとにかくまだ、具体的に決断するには情報が少なすぎる。
今、絶対的に不足しているのは、1と2の情報であるので、それを収集することにしている。
とりあえず、次にどこの論文に出すか決めるまでの間は割と余裕があるし。



最近の二人の気分としては、1に傾きつつあり、彼は早速ある資格職の友人との夕食の約束をとりつけてきた。3の例といえる同じ研究室のポスドクとも昨日話し合ったらしい。2に進んだ先輩にもメールしたそうで、近々会ってもらえるよう交渉中だ。1にしろ2にしろ、変に夢をふくらませてもいかんので、とにかくいろいろな人の話を聞いてみるつもりだ。


簡単には決まらず、1,2,3それぞれをさまよった後で、決断することになるだろう。まあそうだなあ、年末か、年度末ぐらいを目途にした方がよさそうだ。



研究者として成功できるような人は、その気になれば何にだってなれるよ、ほんと。こんな不安定な商売はないべー。それだけの実力アンド運アンド胆力がないと、選択しちゃいけない商売になってしまっっているのはどうなんだろう。
私は別に金持ちになりたいわけじゃないが、生きるための最低限の経済的基盤(給料・社会保障)くらいは保障してほしいものだよ。
やはり子どものことを考えると、どうしてもそこは気になってしまう。まだ結婚さえしていないが、私も彼も子どもが好きで、しょっちゅう話題になっている。一人っ子にはしたくないねえとよく話していて、でも学費を考えると二人までが限度かなあなど。さらに、高齢出産は危険があるものの、私も来年就職したら少なくとも3年はみっちり働かないと就職先に迷惑をかけるし、今後のキャリアとしてもよくない。そうすると私としては31くらいで第一子、35までに第二子くらいになるのかなあ。彼も私も、自分が親にしてもらえたことは、やはり子どもにもしてあげたいと願っているので、そう思うと・・・心配だなあ。


人生は何が起こるかわからない。それこそ明日事故にあうかもしれないし、病気になるかもしれない。だからやりたいことをやりたいようにやる。
それもよいが、私は後々、「こんなはずじゃなかった」と後悔するような生き方はしたくない。
リスクも理解して、その上で受け入れて進むのならよいが、リスクを具体的に把握せずに突き進むなんてことは私の性格ではできない。
そんな私だから、自分が会社をやめて学生に戻ったのは本当に怖かったし大きな選択だったと思う。
今、社会人の友人のようにお金が使えないことについて、あーあと思うことはあるけれどでもそれはわかっていたことだから最終的には仕方ないと思える。
やっぱりこの道に進んでヨカッタと思っている。来年の国家試験には絶対受かりたいし早く現場で働きたい。


あー本当に辛い。しんどい。でも彼のことは大好きだ。